図説 紬と絣の手織技法入門 吉田たすく

吉田たすく「紬と絣の手織技法入門」は、10年近くにわたってこつこつと書きつづけた労作で日本でも類のない技法書である、と東京芸術大学教授の平松保城氏が序で述べている。私は結城図書館が新しくできて一番はじめに借りた本がこの本であった。見習いでまだ経験もとぼしく、また新しい図書館で気分も新しい感じがしてむかったのである。なぜ覚えているかというと、この本の中のイラストで工程を表現するページを書き写した記憶と私の曽祖母が載っていたので覚えている。そのページもコピーして保存していた。また再読という形での再会であるが技法に関しては結城紬の技法がそのまま書写されたかのようなあまりにも似たイラストをみることができる。というのも結城紬はいまだに原始的な技法をそのまま現代につたえてのこる工程がほとんどで昔もいまも変わっていないだけに、似たような工程だと思ってしまうのも当然といえば当然かもしれない。いわば結城紬従事者には親近感や愛着のわく構成といえる。それは沖縄などの織物にも同じことがいえるだろう。著者の吉田たすく氏自身は本書のはじまりに内容を洗いなおして、一冊にまとめようとしたとのことで「素人のからはじまった私が、倉吉で絣を手ほどきに織りを始め沖縄でそこの技術を見学し、メキシコ、インドネシア、タイの織物を実地に見て歩き、探求するなどして自分なりに織の技術を蓄え、明治三十年代に鳥取県の倉吉地方で織られていた四枚綜絖、八枚綜絖、風通織の伝書を解読して組織図になおし、試織をしました。このようにして布を織って四十年になります」といった解説がある。また、手結い絣の沖縄の絣や絵絣の技術を学ぶことができるため、とくに見習い期間や経験不足を感じる人にはおすすめである。私も実際にそうして借りて読んだものだけに愛着もある。購入するといまはプレミア価格で高額資料となっているために、借りてからコピーする方法が経済的にもいいと思う。160ページに及ぶ無駄のない充実の内容と才知きわまる技法書にこころから敬意を示したい。