日本にある赤について 赤染材料 @中間資料 作成 2015.10.11. 日本にある赤、茜(あかね)、紅花(べにばな)、蘇芳(すおう)、臙脂虫(エンジムシ)の4種類について


(1)茜:日本古来より自生していた茜の根による染色 4世紀には遅くても染色されていたとされる。正倉院に収蔵されている染織品のなかで「平螺鈿背八角鏡」(へいらいでんはいのはっかくきょう)は、螺鈿(らでん)や赤い琥珀(こはく)、トルコ石が埋め込まれている印象的な鏡でこれを納める「漆皮鏡箱」の身の内面、ここが茜染による糸で綾地の唐草文が織られている。前後するが、国産ものとはいいきれない正倉院の収蔵のもので世界のいたるところの染織品を保存した可能性があり国産であるとはいいきれない。しかしながら日本茜の自生していた事実や中国から技術伝来などで、茜染めは日本に定着しやすい環境にあった。

(2)紅花:<日本の染織 紅花染 花の生命を染めた布 >評にて、技法等などを情報追加し、まとめたいとおもう。

(3)蘇芳:インド南部、マレー半島、インドネシアなど熱帯、もしくは亜熱帯地方に生育するマメ科の植物。そのみきの芯材に赤の色素がある。蘇芳には薬としても効果があり下痢や嘔吐をおさえる効果がある。気温の低い日本ではどうしても生育する環境にならず輸入して使用するしかない。正倉院の収蔵物「黒柿蘇芳染金銀絵如意箱」(くろがきすおうぞめきんぎんえのにょいばこ)があり、黒柿の木でつくった箱を蘇芳で赤く染めかさねたものであるという。さらにそのうえに金銀で唐花木文様をほどこすという装飾性の高い箱。平安時代になってからも赤色は高貴な色として人々を魅了する。


(4)臙脂虫 エンジムシ 紫鉱:カイガラムシともよばれる。昆虫であるが植物とともにいきる種類は一万種といわれている。運動機能を失った雌は、一部の雄とともに植物に寄生し樹脂で身体をおおう。カイガラムシの分泌物は赤の色素を含んでいるために染料や薬物として採集されてきている。ラックカイガラムシはよく知られる種類でオオバマメノキ(マメ科)、アコウ(クワ科)、ライチ(ムクロジ科)、イヌナツメ(クロウメモドキ科)などの樹木に寄生する。インド、ブータン、ネパール、チベット、ミャンマー、ベトナム、タイ、中国南部で採集できる。正倉院に「紅牙撥鏤尺」(こうげばちるのしゃく)「 紅牙撥縷撥 」(こうげばちるのばち)があり、象牙(ぞうげ)を研磨したものにエンジムシの赤、もしくは上記三種のいずれかの赤染材で染色したと考えられる。
 
黄色の染料と染色と染材料 @中間記録2016.5.29 黄色の染材料 黄檗(キハダ)、梔子(クチナシ)、槐(エンジュ)、といった、黄色の染色が可能な草木染材。こうした黄染めには欠かせないものは、着物にしてみるとやはり地味や渋いなどのわびさびの染色になりがちな中でも黄色は美しい。煮出してその染液にきれをいれると黄色に染まるために、重宝されてきた。そういう方法も自然に考え出されたということができる。原始的な文化の時代からも人間が病気になれば、天然木や草などから薬物を食べていたということに原因があると考えられる。現在の野生の鳥や獣みても分かるように、彼らは病気を治すために、あるいは傷をなおすために、薬草食べたり、いろいろの薬物を傷に塗ったりしている。すなわち、生活の知恵として、いつからともなくそれを知っているいえる。人間ももちろん、野獣に近いような生活をしていた原始時代の頃からすでにそのような方法を知っていたはずである。ところが、人間が他の野鳥や野獣などと違って火を知り、それを使って物を煮たり焼いたりするような時代になると、お腹の 薬として、キハダの樹皮を用いるとしても、それをそのまま食べるのはどうも食べにくいということから、それを水に入れ、火で煮出して、その煎じたりした汁を飲むということを自然に考え出したであろうと考えられる。すなわち、そうしたことの薬物と薬草の医療的な生活の側面からやがて衣に色をうつしだすといったことがやがて染色のおおもととなっていると考えられる。とくに草木などのものは煮出してみると、通常であれば、薄い緑色が出てくる場合がほとんどであるが、煮出してみると目立つ色が出ている植物はいちはやく、薬草、薬物の利用につながったと考えることができる。それらは、以前、赤い染材にあげたもの、アカネなどの根などもその利用価値から染色につながったよい例であるといえる。