「柄」きものと帯【visual】

浦沢月子

この本は浦沢月子さんの晩年の著書である。6代目銀座紬屋吉平の夫の奥さん、つまりは6代目にあたるのが浦沢月子さんである。基本的には雑誌のように視覚的な写真とそれを説明していく感じである。TPOの装いの解説の親切さはずば抜けている。1999年の出版であるが古さを感じさせない基本がおさまっている。例えばこれから着物を学ぶという場合、まずは1冊を手にして、文様の話しが出てわからない場合、文様の専門書を買うというスタイルになる。現代であればインターネット環境が整っていれば、わからないことは検索して言葉をキーワードに自力で探すことができる。私は正直、着物を勉強していくうちに、ほんのわずかな時間にしか生きていないこととそれまでの歴史の蓄積がいかに莫大なものだったのかというのがわかり無力感におそわれてきた。それもそうで奈良時代とか、はるか昔のことでありことこまかに先人が文章や絵などで記録してきたその後の世代を思う記録こそ日本の素晴らしさだと思う。パリを訪れるとなにものにもなっていない人にはしんどい都市だといわれる。日本にはまだそこまで冷酷で残酷な都市はない。私は何を言っているのかと思われるかもしれないがパリの建築や文化をみるとなぜか日本の文化の嘘みたいなものを感じてしまう。それがなぜかはわからない。

伝説の女将浦沢月子の生きざまについて