織ひとすじ 西陣織兄弟、二百歳の志 千年の技

山口伊太郎 山口安次郎 共著

兄弟で二百歳という月日を西陣織にかけてきた凄まじい本である。生涯現役の秘訣を読みとろうとする時、また定年後どうしたらいいのか、といえば彼らは染織活動、兄・伊太郎さんは西陣織で源氏物語を再現すると決意したのが70歳、弟・安次郎さんは能装束の復元に賭けることを決めたのが55歳、会社勤めの人がこれから新しいことに取り組み始めようとするとき、決してそれが何であれ遅くはないといったことを述べている。西陣織というと能装束はほとんどの場合、西陣織の美しい織物でできているわけで、それは現在においてもまったく同じである。最近NHKの美の壺で西陣織の番組があったが、手間のかけ方がものすごく、外国の人がこれが織物ですといったらにわかに信じられないようなことをやっているのである。私は西陣に詳しくはないが文体のみを追ってきて、実際の西陣織の映像でみてそこにひっくり返るような衝撃もあった。爪の先をクシのようにして毎日ケアし、一本一本糸をその独特なクシ状にケアされた爪でそろえて織るようなとてつもない職人技の結晶であったがためにしばしその姿の映像をみて終始無言であった。果てしない技術の探求の末にだけに成り立つ値段ではない世界。なくなってほしくはない。誰もがそう思う。西陣織は現在、職人さんが育ちにくいという結城と変わらないような背景がある。私はぼう然と結城紬はどうなってしまうのだろうか私がいなくてもやはり少なくなっても結城紬は続くのではないかという思いもあり、にわかに染織は日本が誇る高い技術で今後も続くのではないだろうかとかすかに次世代へ期待している。